遺品整理

実家をたたんで遺品整理をするときに先祖代々の位牌はどのように扱うべきか?

昭和の時代までは、先祖代々の家を長男が引き継いでいくという考えがあたり前のように残っていました。

しかし、いまではたとえ長男であっても、進学や就職をきっかけに実家を出たまま戻ってこないというケースが多くなっています。

やがて両親が亡くなると、その家には誰も住まなくなってしまいます。

誰も住まなくなった家をそのまま放置しておくわけにもいかないので、遺品整理を兼ねて実家をたたんでしまう人も増えています。

先祖代々の実家をたたむときに、頭を悩ませるのが先祖代々の位牌です。

歴史のある古い家の場合には、江戸時代からの先祖の位牌が仏壇のなかにたくさん入っているに違いありません。

ここでは、先祖代々の実家をたたむときに、位牌をどのように扱ったらいいのかについて考えてみたいと思います。

仏壇や位牌を処分するにはお坊さんに閉眼供養をしてもらいます

遺品整理をするときに、仏壇や位牌をそのまま一緒に処分してしまったとしても、法的には特に問題になることはありません。

しかし、先祖代々の仏壇や位牌をただのゴミとして処分するというのは、それほど信仰心が強い人でなくても抵抗があるに違いありません。

「罰があたって家族に災いがあると困る」と考えるのが、普通の日本人だからです。

また、遺品整理業者にしても、そのまま何もせずに処分をしてくれと言われても困るに違いありません。

そのため、一般的にはお坊さんを呼んで魂抜きや閉眼供養といったものが行われます。

性根抜き(しょうねぬき)などと言われることもあります。

先祖代々の古い家であれば、どこかの寺院の檀家になっているはずなので、そこのお坊さんに来てもらって仏壇や位牌の魂を抜いてもらうことになります。

閉眼供養の済んだ仏壇は、いわゆるただの空箱ということになりますので、遺品整理業者にそのまま処分をしてもらうか、一般廃棄物の粗大ゴミとして自治体に処分をしてもらいます。

ただし、自治体によっては仏壇の処分は受け付けてくれないところもあるようなので、事前に確認をしておくといいでしょう。

位牌は、閉眼供養を行ってくれた寺院にお願いをすれば、「お焚き上げ」をしてくれるのが普通です。

もし寺院で「お焚き上げ」をしてくれない場合には、ゴミとして処分することも可能です。

しかし、たとえ魂抜きをしたとはいっても先祖の位牌をゴミとして処分するのは抵抗がある人もいるでしょう。

そういった場合には、自分自身で「お焚き上げ」をしても問題ないようです。

ちなみに、お坊さんに閉眼供養をお願いするときのお布施の目安は3万円~5万円ほどですが、地域や寺院によってかなりの違いがあります。

数千円程度で済むところもあれば、10万円近くかかるところもあるようなので、事前に地域の人に相場を確認しておくといいでしょう。

位牌を永代供養という形にすることも可能です

何百年も昔の先祖の位牌はともかく、亡くなったばかりの両親や兄弟の位牌を「お焚き上げ」してしまうのは抵抗があるという人もいることでしょう。

そういった場合は、両親や兄弟の位牌だけを永代供養という形で寺院などに預けておくということも可能です。

永代供養の形にすれば、位牌を残したまま33回忌程度までは寺院の方で供養をしてくれます。

永代供養といっても、実際には「永代」にわたって位牌を残しておくことができるわけではなく、多くの場合は33回忌などが終わったあとに「お焚き上げ」されることになります。

それでも、亡くなったばかりの両親や兄弟の位牌をすぐに「お焚き上げ」してしまうのにくらべると、抵抗感は少ないと思います。

ただし、寺院によっては永代供養を受け付けていないところもありますので、事前に確認をするようにした方がいいでしょう。

位牌をひとつにまとめるという方法もあります

たとえお坊さんを呼んで魂抜きをしてもらったとしても、先祖代々の位牌を1つも残さずにすべて処分してしまうのは抵抗があるという人も少なくないでしょう。

そういった場合には、「○○家先祖代々之霊位」という形で、位牌を1つにまとめてしまうという方法もあります。

先祖代々のたくさんの位牌を管理することはできなくても、1つにまとめてしまえば手元に置いておくのは容易になります。

ただし、先祖の位牌を1つにまとめることができるのは、33回忌や50回忌を終えて弔い上げ(とむらいあげ)をしたあとになります。

弔い上げというのは、故人の最後の法要のことです。

ですから、まだ亡くなって間もない両親や兄弟の位牌などは弔い上げを終えていませんので、先祖代々の位牌に移すことはできないことになります。

先祖代々の位牌を1つにまとめる場合は、古い位牌の閉眼供養を行うと同時に、新しくまとめた位牌の方を開眼供養(魂入れ)しなければなりません。

回出位牌という形で先祖の戒名を書いた札板を残すこともできます

自分が会ったことのない古い先祖の位牌を1つにまとめることは抵抗なくても、自分が小さいころにかわいがってもらった祖父母の位牌を先祖代々の位牌にまとめてしまうというのは抵抗があるという人もいるかも知れません。

そういった人の場合は、回出位牌 (くりだしいはい)という形で残すといいかも知れません。

回出位牌というのは、見た目は1つの位牌ですが、扉を開けた内側に先祖の個別の戒名が書かれた札板を納めることができるようになっています。

札板は8枚から10枚程度入れることが可能ですので、少なくとも自分が会ったことのある先祖の戒名はそのなかに残すことができます。

1つにまとめた位牌をどこに置くべきか?

先祖位牌という形で1つにまとめるにせよ、回出位牌という形にするにせよ、実家の仏壇を処分してしまったあとにその位牌をどこに置くかを決めておかなくてはなりません。

実家を離れてマイホームを持ったり借家住まいだったりする場合には、自宅に仏壇がないのが普通だと思います。

また、最近は洋風の家が多くなっていますので、新たに仏壇を置くことに抵抗を感じる人も少なくないでしょう。

そういった場合には、厨子と呼ばれる位牌を入れるためのコンパクトな仏具がありますので、その中に先祖代々の位牌を安置するようにするといいでしょう。

厨子で有名なのは、法隆寺にある玉虫厨子(たまむしのずし)ですね。

最近では、洋風の部屋においても違和感のないモダンな厨子も販売されていますので、インテリアに合わせて用意をするといいでしょう。

悪質な遺品整理業者に注意

実家をたたむときの先祖代々の位牌の取扱い方法についていくつか紹介してきましたが、仏壇や位牌の閉眼供養をどこの寺院にお願いしたらいいか分からないという人もいるでしょう。

そういった人のために、遺品整理業者のなかには仏壇や位牌の処分までをすべて行ってくれるところもあるようです。

魂抜きやお焚き上げなども、提携している寺院の僧侶が行ってくれます。

また、そういったサービスをネットから簡単に申し込みできるような業者もあるようです。

しかし、なかには悪質な業者もいますので、注意をしなければなりません。

閉眼供養のためのお金だけを受け取っておいて、そのまま何も供養をせずに仏壇や位牌をゴミとして処分をしてしまうような業者もまれにいます。

もし、遺品整理業者に仏壇や位牌の処分から閉眼供養までを一括でお願いする場合には、しっかりと「供養証明」を発行してくれる業者を選ぶことが大切です。