おひとりさまの終活

高齢のおひとりさまが自宅で暮らすにはバリアフリー化は必須~転倒事故で交通事故の2倍の人が死亡しています

高齢になっても、老人ホームや施設には入らずに自宅で暮らしていきたいと考えている「おひとりさま」も少なくないでしょう。

施設に入って人に気を使いながら生活をするよりも、これまで通りのんびりときままに一人暮らしを続けて行きたいと考えるのは自然なことです。

しかし、だんだん年を取れば若い頃のようには体の自由もきかなくなってきます。

高齢者が自宅で転倒して、寝たきりになってしまったり死亡してしまったりする事故は決して少なくないのです。

ここでは、おひとりさまが高齢になっても自宅で安心して一人暮らしを続けて行くために知っておく必要のある、バリアフリー化について解説してみたいと思います。

高齢者の一人暮らしにはバリアフリー化は必須です

高齢になっても自宅で生活を続けていくためには、バリアフリー化は必須といえます。

なぜなら、高齢で一人暮らしの人がもっとも気をつけなければいけないのが、転倒事故だからです。

高齢になってくると、だんだんと骨がもろくなってきますので、ちょっとした転倒で骨折をしてしまいます。

高齢者が足などを骨折してしまうと、そのまま一生寝たきりになってしまうことも少なくありません。

それどころか、転倒によって命を失ってしまう高齢者もかなりの人数になります。

信じられないかも知れませんが、実は転倒によって死亡する人は交通事故で死亡する人の2倍以上にもいるのです。

参考:交通事故の2倍!知ってますか?「転倒死」~NHK

2017年度における交通事故による死亡者数が3694人なのに対して、自宅での転倒が原因で亡くなってしまった人の数は9673人にもなり、その差は約2.6倍です。

交通事故の2倍以上の確率で死亡する可能性があることを考えれば、高齢者が1人暮らしをする際には転倒防止のためのバリアフリー化は必須であることがお分かりになるかと思います。

繰り返しになりますが、おひとりさまが高齢になっても一人で自宅にずっと住み続けるためにまずやるべきことは、バリアフリー化なのです。

段差をなくしたり手すりを取り付けたりすることが基本

自宅のバリアフリー化でまずやるべきことは、手すりを取り付けたり床の段差をなくしたりするなどの転倒防止対策です。

手すりをつける場所は、階段や玄関の上がり口などの段差の大きいところが中心になります。

また、風呂場のように滑りやすいところや、トイレのように立ったり座ったりを繰り返す場所にも手すりは必要です。

古い家だと和式の便器を使っているところも少なくないと思いますが、高齢者にとっては足腰に負担がかかりますので、バリアフリー化のタイミングで洋式に変更をしておくといいでしょう。

段差に関しては、ドアや敷居の部分を中心に行うようにします。

最近の住宅だと、ドアのある場所や敷居が床面とフラットになっていることが多いですが、古い家だとけっこうな段差になっていたりします。

年をとってくると、自分の頭の中ではしっかりと足をあげているつもりでも、実際にはあまり上がっていなくて足元の段差につまずいてしまうということが起こりがちになります。

そういった段差によるつまずき転倒を未然に防ぐためにも、ドアや敷居などの段差にはスロープを取り付ける必要があります。

ヒートショックによって風呂場で水死する人が交通事故の4倍

バリアフリー化というと、手すりを取り付けたり段差をなくしたりして転倒を防ぐための対策だと思っている人も多いことでしょう。

しかし、高齢者が安心して一人暮らしをしていくためには、それだけでは安心できません。

なぜなら、ヒートショックによって死亡してしまう高齢者も少なくないからです。

ヒートショックというのは、暖房のきいた部屋から寒い脱衣所に行って裸になり、暖かいお風呂に入ることで血圧が乱高下を起こして脳梗塞や心筋梗塞などを発症してしまうことです。

このヒートショックによってお風呂で水死をしてしまう人の数は、年間で1万9千人にもなるといわれており、交通事故による死者の約4倍にもなります。

参考:交通事故死より4倍多い! 冬場に多発する「ヒートショック」の予防と対策

高齢のおひとりさまが1人暮らしをするにあたっては、転倒をしないようにすることも大切ですが、それ以上にヒートショックを起こさないようにすることも重要といえます。

特に、古い住宅の場合は断熱性能が弱いために、暖房のきいた部屋とそうでない脱衣所などの場所との温度差が大きくなる傾向があります。

ヒートショックを起こさないようにするためには、浴室の窓を二重にしたり、脱衣所に暖房器具を設置したりすることが有効とされています。

しかし、脱衣所を暖房器具で温めるには、入浴の20分~30分前に電源を入れておかなくてはなりません。

高齢者が1人暮らしをしている家の脱衣所で、誰もいない状態でヒーターなどの暖房器具をつけっぱなしにしておくというのは危険です。

より安全でヒートショック防止に効果がある対策としては、浴室暖房の設置があります。

浴室暖房は、エアコンと同じ原理で部屋を暖めますので、ヒーターのように火災を発生させる危険はありませんし、浴室のドアを開けたままにしておけば、脱衣所も一緒に温めることができます。

バリアフリー化をするときに、いっしょに浴室暖房の設置も検討してみるといいでしょう。

バリアフリー化のための助成制度をうまく活用しよう

バリアフリー化といってもいわゆるリフォームですから、DIYが趣味で器用ない人でもなければなかなか自分で行うことは難しいでしょう。

通常は工事業者に依頼をすることになると思いますが、問題はその費用です。

工事をするわけですから、それなりの費用は当然のことながら発生してしまいます。

しかし、介護保険や自治体の助成制度をうまく活用すれば、それほど費用をかけずにバリアフリー化をすることは十分に可能になります。

要支援・要介護の認定を受けた人に対して工事費用の9割を助成

介護保険には、「高齢者住宅改修費用助成制度」というものがあります。

これは、要支援や要介護の認定を受けている人が、自宅をバリアフリー化するときに、20万円までの工事費用の9割を負担してもらえるという制度です。

20万円に対する9割ですから、最大で18万円まで支給してもらうことが可能になります。

これは1回切りというわけではなく、一生の間に何度工事を行っても、20万円までであればこの助成制度の適用を受けることができます。

助成の対象になる工事は、手すりの取り付け、段差の解消、床面の素材の変更、扉を引き戸に交換、洋式便座の取り付けなどです。

転倒防止のための工事であれば、ほぼすべてが助成の対象になることがお分かりになるかと思います。

参考:介護保険における住宅改修~厚生労働省

自治体によっては独自のバリアフリー化支援の助成制度があります

高齢者の自宅をバリアフリー化するにあたっては、介護保険とは別に独自の助成制度を設けている自治体も少なくありません。

助成を受けるためには、前年度の所得が非課税の世帯であるとか、要支援・要介護の認定を受けていなければならないなどの条件のある自治体が多いようです。

しかし、要支援・要介護の認定を受けていなくても、高齢によって運動機能があきらかに低下していて転倒の恐れがある場合には適用される自治体もあります。

こうした自治体によるバリアフリー化の助成制度によって支給される助成金は、30万円~50万円程度のところが多いようです。

助成制度を利用することができる条件や金額については、それぞれの自治体によって異なりますので、事前に自分が住んでいる市区町村の役所に電話で確認をしてみるといいでしょう。

参考:高齢者住宅改修費支援サービス事業~千葉市