おひとりさまの終活

おひとりさまが残した財産は誰に相続されるのか?~兄弟・甥・姪・国庫納付

生涯独身であったり、死別や離別をしたりして一人暮らしになってしまっている、「いわゆるおひとりさま」の場合、自分が亡くなったあとの財産がどうなるのか気になると思います。

ある程度の年齢に達した人が一人暮らしをする場合、将来に対するさまざまな不安からある程度の資産を手元に残しておきたいと考えることが多いようです。

しかし、将来に対する不安から蓄えた財産であっても、自分が死ぬまでにそれらの資産をすべて消化できるとは限りません。

残った資産は、誰かに相続をすることになります。

子どもや配偶者のいないおひとりさまが亡くなったときに、遺産を相続するのは、親、兄弟、甥、姪といった人たちになります。

また、親や兄弟などの身寄りがなく法定相続人がいない場合は、最終的に民法959条にもとづいて国庫納付という形で国が相続することになるのです。

参考:民法959条

国が相続をする遺産の額は年間400億円にもなります

最近は、一人暮らしの老人が増えており、全国で600万人以上の独居老人がいるといわれています。

たとえ一人暮らしであったとしても、身寄りがある人であれば、自分が亡くなったあとに財産を相続する人が存在することになります。

しかし、身寄りがない独居老人が亡くなってしまった場合は、すべての遺産は国が相続をすることになってしまいます。

民法の959条には以下のように書かれています。

「相続する者がいない相続財産は最終的に国庫に帰属する」

つまり、生涯独身で子どもがなく、親や兄弟姉妹などの身内と呼べる人がまったくいない人が亡くなると、遺産はすべて国に持って行かれることになるのです。

そして、国が相続する遺産の額は年々増えており、2017年には525億円にもなっています。

一人暮らしで身寄りのない人の場合、将来への不安からため込んだ財産がどれだけあっても、皮肉なことにすべて国に没収されてしまうということになるのです。

おひとりさまであっても法定相続人がいる場合の相続のルール

生涯独身のおひとりさまであっても、両親や兄弟などがいる場合には、そういった人が遺産を相続することになります。

また、両親や兄弟などがすでに亡くなってしまっている場合であっても、兄弟姉妹の子ども(甥や姪)がいれば、そういった人たちが相続をすることができます。

親も兄弟も甥も姪もいないおひとりさまが遠い親戚に相続させたいとき

親や兄弟、甥や姪といった法定相続人となり得る人がいない場合、そのまま何もしなければ、遺産は国庫納付となってしまいます。

しかし、法定相続人の対象にはならなくても、従妹やお世話になった親戚などに自分の遺産を渡したいと考える人もいることでしょう。

そういった場合には、その旨をしっかりと遺言状に残しておく必要があります

ちなみに遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」がありますが、より確実に財産を遺贈したいと考えるのであれば、公証人役場で公証人が作成する「公正証書遺言」を残しておくといいでしょう。

親がまだ健在の場合はおひとりさまの遺産は親が相続します

相続というと、親が亡くなったときに子どもが相続をするというイメージがあると思いますが、実は親がまだ健在のときには、子どもの遺産を親が相続することができるのです。

ですから、たとえ未婚で子どものいないおひとりさまであったとしても、親が健在であればすべての遺産を親が相続することができるのです。

配偶者や子どもがいない人が亡くなったときの遺産は、親が健在であっても兄弟姉妹が相続すると思っている人もいるかも知れませんが、そうではありません。

親が生きている間は、子どもの遺産は親が相続する決まりになっているのです。

その場合、兄弟姉妹には一切の相続の権利はありません。

ちなみに、非常にまれな例だとは思いますが、配偶者も子どももいないおひとりさまが亡くなったときに、両親が他界してしまっていても祖父母が健在であれば、祖父母が遺産を相続することができます。

参考までに、法律で定められた相続の順位をまとめておきましょう。

●配偶者・・・常に相続人となる
●子ども、孫、ひ孫・・・第1順位相続人
●両親、祖父母・・・第2順位相続人
●兄弟姉妹、甥、姪・・・第3順位相続人

生涯独身のおひとりさまの場合、配偶者や子どもなどがいませんから、第2順位相続人である両親や祖父母が健在であれば法定相続人として全財産を相続することになります。

すでに親が亡くなってしまっていて兄弟がいるおひとりさまの場合

すでに両親や祖父母が他界してしまっているおひとりさまが亡くなったとき、遺産を相続するのは兄弟ということになります。

この場合、相続の割合は兄弟が2人いれば2等分、3人いれば3等分ということになります。

もちろん、あらかじめどのような割合にするかを遺言状に残しておいたりすることもできますが、のちのちトラブルにならないような配慮をすることは必要になります。

おひとりさまの遺産を甥や姪が相続するケース

親や祖父母がすべて他界している場合は、おひとりさまの遺産は第3順位相続人である兄弟が相続をすることになりますが、その兄弟が亡くなっている場合には、兄弟の子どもである甥や姪が相続をすることになります。

こういった相続を専門的な言葉で代襲相続といいます。

たとえば、3人兄弟で、亡くなった人に弟と妹がそれぞれ1人いたとします。

弟にも妹にもそれぞれ子どもが2人いますが、弟の方はすでに他界しているとします。

この場合、相続の割合としては、妹が全財産の2分の1、弟の子どもである2人の甥(姪)がそれぞれ4分の1ずつということになります。

たとえば、おひとりさまが残した遺産が1000万円あったとしたら、妹の相続分が500万円、弟の子どもである2人の甥(姪)の相続分が250万円ずつということになるわけです。

このように、生涯独身のおひとりさまであっても、兄弟やその子どもがいれば、法定相続人が存在することになりますから、国庫納付になるということはありません。

おひとりさまの遺産を例外的に相続することができる特別縁故者

両親や祖父母、兄弟がすべて他界をしており、兄弟に子どもがいないようなケースでは、法定相人が存在しませんから、遺言書などで遺贈する人を決めておかないとおひとりさまの遺産はすべて国に相続されることになります。

しかし、そういったケースであっても、特別縁故者の申し立てが認められると、遺言書がなくても遺産を受け取る権利を得ることが可能になります。

特別縁故者とはどのような人が対象になるのか?

法定相続人でもないのに、裁判所の判断により亡くなった人の遺産を受け取ることのできる特別縁故者といわれる人も存在します。

それは、いったいどういった人が対象になるのでしょうか?

特別縁故人として認められる可能性のある人物としては、次の4つが考えられます。

1.亡くなった方と生計をともにしていた人物
2.亡くなった方の看護や介護にあったった人物
3.亡くなった方と親兄弟のように親密な関係であった人物
4.亡くなった方と縁の深い法人

おひとりさまの場合、生計をともにしている人はいないはずですから、1番は該当しないことになります。

2番は、亡くなった方の介護や看護をしていた人が対象になりますが、業務として報酬を受け取っていた場合は対象になりません。

つまり、家政婦やヘルパーといった人は対象になりません。対象になるのは、あくまでも善意で行っていた人です。

3番の場合は、まったく血縁関係はなくても、生前に親兄弟と同様に親密なお付き合いをしていた人が対象になります。

4番の場合は、亡くなった方が会社を経営していたようなときに、その法人に対して裁判所が特別縁故者として財産の分与を認めることがあります。

いずれの場合も、特別縁故者として認めてもらえるかどうかは、裁判所の判断しだいということになります。

特別縁故者として認めてもらえる人が誰も存在せず、遺言書も存在しないということになると、おひとりさまが残した財産は国庫納付ということになってしまいます。